(前編からのつづき)
前編では、民間の金融機関が融資を行う際に考慮する項目の上位10項目を紹介しました。
さて、本編では、各項目を詳しく見ていきましょう。
まず1位「完済時年齢」、2位「健康状態」、そして一つ飛んだ4位「借入時年齢」に注目してください。これを見ると、審査を受ける対象者の年齢と健康が重視されるということがわかります。今は健康できちんと働いているとしても、完済時年齢85歳では金融機関としてはリスクになります。住宅ローンの返済は25年、30年と長くかかるので、万一の時の担保や今の年収より、「何歳で確実に完済できるのか」という点が重視されることを覚えておきましょう。完済時年齢については、ほとんどの金融機関が「80歳未満」と回答しています。それから「健康状態」ですが、住宅ローンはほとんどの場合、団体信用生命保険(団信)の加入が融資条件になっているため、健康告知をして加入できるのか、健康状態が重視されます。
3位「担保評価」は購入しようとする物件についての項目です。金融機関は住宅ローンを融資する際、万一借り手が返済できなくなった場合に資金回収できるよう、購入する不動産を担保にします。そのため、審査の際には、その不動産に担保としての価値があるか、といった担保評価も重視されるんですね。
5位「年収」、6位「勤続年数」と続きます。「年収」や「勤続年数」をチェックするのは、「安定した収入が今後も継続して見込めるか」どうか判断するためです。住宅ローンには最低年収の条件があり、金融機関によって異なりますが、およそ150万円~250万円が目安となっています。また「勤続年数」は住宅ローン審査の場合、1年以上、あるいは3年以上というのが一般的です。しかし、金融機関によっては1年未満でも審査可能なケースや、勤続年数を条件にしていない所もあるので、転職などで勤続年数が気になる場合はこうした金融機関を検討するといいですね。
7位「連帯保証」は金融機関が指定する保証会社からの保証が受けられるか、ということです。最近では連帯保証人よりも、保証会社を利用するのが一般的なので「保証会社の連帯保証が必要」と回答した金融機関が多く、重視される項目に挙がっています。
8位「金融機関の営業エリア」は、金融機関の都合によるものですが、エリア内に居住、エリア内に勤務という点を重視する金融機関が多いということが分かります。
9位「返済負担率」とは、年収に対する返済額の割合のことです。一般的にムリなく返済できるのは35%以内と言われています。たとえば、年収400万円の場合、年間の返済額は140万円以内ということです。借入額が大きくなると返済負担率が上がり、金融機関としてリスクになるため重視される項目となっています。基準となる返済負担率は金融機関によって異なります。
10位「融資可能額(融資率)」は、購入物件の価格に対する借入額の割合を指すものです。例えば3000万円の物件を検討している場合、頭金を500万円用意していればローンが必要な金額は2500万円です。2500万円÷3000万円=0.83で融資率83%ということになります。自己資金が少ないほど融資率は高くなり、低い方が完済の見込みが大きいと考えられることから重視されます。調査結果ではほとんどの金融機関が100%以内と回答しています。
「民間住宅ローンの実態に関する調査」の結果から、特に重視される審査項目上位10項目について見てきました。大きく分けて「審査を受ける人」と「物件や借りる金額」についての項目がチェックされていることがわかりましたね。
(後編につづく)